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「新・天上碑」はオープンβテスト開始から10年。今だから話せるエピソードも語られた,歴代GMと元プロデューサーが振り返る10年とこれから
ゲームオンがサービス中の武侠オンラインRPG「新・天上碑」は,2012年11月でオープンβテスト開始から10年を迎える。今回は,本作のGMを務めてきたゲームオンのスタッフ5名([GM]蒼鋭氏,[GM]燕黄氏,[GM]侠雲氏,[GM]蝶稜氏,元運営プロデューサー石井氏)に,10年間の思い出や現在につながる象徴的な出来事などを語ってもらった。また,記事の後半では現行のプロデューサーである石元氏に,今後の展開についても話を聞いたので,そちらもお見逃しなく。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。今回は歴代のGMに集まっていただき,新・天上碑の10年を振り返ってもらいたいので,まずはそれぞれ本作に関わってきたなかで,思い出に残るエピソードなどがあれば教えてください。
[GM]蒼鋭氏:
私がGMを担当していた2004年から2007年の新・天上碑は月額課金制で,プレイヤーの減少がそのままサービスの存続につながる時代でして,今でこそ話せますが,新・天上碑もこのままでは危ないと言われるところまできました。そこで続けていくための新たな施策として,「富くじ」──いわゆるガチャの販売を導入したわけです。
4Gamer:
現在の“ハイブリッド課金”の先駆けだったわけですね。
[GM]蒼鋭氏:
ええ。今でこそ基本無料のゲームは定着していますが,当時GMとしてインゲームサポートを行っているときに,50~60人のお客様に囲まれる中,「富くじは法的に問題はないのか」と問い詰められたことをよく覚えています。当時の私は,まだ経験の浅いGMでしたが,責任のある発言をしなければならず,まさに身が縮む思いでしたね。
4Gamer:
燕黄さんはいかがでしょう。
[GM]燕黄氏:
大会名を考えることや,毎月29日に回復アイテムがドロップする「肉の日」の見直しが印象深いですね。肉の日は高レベルのお客様に不評だったので,見直しを図るために一旦停止したのですが,そのあとで,多くのお客様に好評だったことがわかって大変でした。
4Gamer:
“声の大きい”プレイヤーには不評だったけれども,サイレントマジョリティはそうではなかったと。
[GM]燕黄氏:
ええ,お客様の意見をどう受け止めるべきか,判断の難しさをあらためて認識させられた出来事でしたね。
4Gamer:
では,ほかの方達はいかがでしょうか。
石井氏:
私が担当した大きな企画は,2007年のオープンβテスト5周年記念連続イベントです。そこで初めて「記念守護牌」を提供したのですが,非常にお客様の関心を集めたことが記憶に残っています。
2009年以降は,競合タイトルが増える中,「千年計画」と銘打ったアップデートの告知を行い,生産/ハウジングシステムの導入に関わりました。
[GM]侠雲氏:
私は新・天上碑の単独オフラインイベントを,2005年以来約7年ぶりに開催できたことが印象に残っています。お子さんと一緒に来てくださったお客様もいて,非常に感慨深い思い出です。
あとは2010年初頭の「天上三国志」イベントでしょうか。これはお客様とGMが共同で進めるイベントで,状況に応じて展開が変わるという内容だったのですが,非常に快くご協力いただけたことがありがたかったです。個人的に楽しかったのは,たくさんの熊を出現させた「VS_GMイベント~GMからの挑戦状~」イベントですね。
[GM]蝶稜氏:
新・天上碑に携わった直後,当時の責任者に「千年計画をまとめてみろ」と言われて非常に苦労したことが,一番の思い出です。千年計画が一区切りついた2011年までは,本当に大変でした。ここにいる先輩達の手となり足となり,日々の業務を積み重ねてきたと言うのが正直な感想です。
4Gamer:
なるほど。皆さんそれぞれに,いろいろな思い出があるようですが,その中で,現在の業務に役立っていると感じることがあれば,ぜひ教えてください。
[GM]蒼鋭氏:
私の時代は,ちょうどオンラインゲームが月額課金制から基本無料にシフトする時期でした,その流れの中,新・天上碑も早めに基本無料に移行したわけですが,そういった新しい考え方にチャレンジしていく姿勢が,私に限らずゲームオン全体に浸透したのではないでしょうか。
また私個人は,富くじの件を通じて,お客様ときちんと向き合ってお話をする手法を学びました。
[GM]蝶稜氏:
私は,新・天上碑に携わった当初,「どうして今時でなく一昔前のタイトルを,ずっとサービスできるのだろう」という疑問を抱いていました。しかし,カスタマーサポートなどの業務を通じてお客様の声を聞いているうちに,お客様が求めているのはシステムの斬新さや美麗なグラフィックスではなく,コミュニティの強さであることに気づかされたのです。現在,私はほかのタイトルを手がけていますが,その経験からお客様のアンケートへの回答を非常に重視するようになりましたし,今後も同じ方針でやっていきます。
[GM]侠雲氏:
私も新・天上碑からコミュニティの大切さを学びました。現在では,モバイル向けのタイトルを担当しているのですが,それらにチャット機能を盛り込んだのも新・天上碑の経験を踏まえてのことです。
[GM]蝶稜氏:
コミュニティに関しては,お客様からもチャットシステムが優秀であるというご意見を頂戴しています。そうした強みを生かし,先人が培ったものを継承して,今後も長くサービスを続けたいと考えています。
4Gamer:
それでは,OBT開始から10年を記念して,運営チームがプレイヤーから募集した質問の中から,今後につながる内容のものなどを,ピックアップして聞いて見たいと思います。
まずは一番多く見受けられた,新・天上碑はいつまで続くのかという質問について回答をお願いします。
[GM]蝶稜氏:
不安を抱いているお客様もいらっしゃるようですが,お客様に支えていただけている限り,終わりにするつもりも予定もまったくありません。
[GM]燕黄氏:
これだけサービスが継続できているのは,きちんと利益を上げることができているからです。本当にお客様のおかげですね。
私や[GM]蒼鋭は,現役の運営チームでこそありませんが,新・天上碑とともにゲームオンで年齢と経験を重ねてきたメンバーです。無論,良いことばかりではありませんでしたが,初心を忘れないようにしないといけないでしょう。
4Gamer:
燕黄さんのコメントに少し関連しますが,運営チームの平均年齢はどのくらいでしょうか。
[GM]蝶稜氏:
今のチームは以前よりも若返っていて,20代中盤から30歳前後が中心になっています。
[GM]燕黄氏:
歴史あるタイトルを若いスタッフが担当しているという点でも,将来への不安は払拭していただけるのではないでしょうか。
4Gamer:
では,次の質問です。運営チームのスタッフは,プライベートで新・天上碑をプレイしていますか。
[GM]蒼鋭氏:
もちろんしています。
[GM]蝶稜氏:
GMは任期中,必ずプライベートで一般のお客様に混ざってプレイしています。ちなみに勤務中は,透明化したGMキャラでゲーム内を巡回し,不正ツール利用などがないかなどをチェックしています。私は「洛陽城」で,チャットの内容やアイテムの市場を確認するといったこともやっています。
4Gamer:
監視にはRMTの取締りも含まれていますか。
[GM]蝶稜氏:
はい。それも日々行っています。
[GM]燕黄氏:
ただ,その時々で最善の手を尽くしているのですが,どうしてもいたちごっこに陥ってしまいがちです。また,取締りに間違いがあってはいけませんので,お客様の快適なプレイを阻害しないためにも,慎重に判断しなければならないという側面もあります。そのためにはある程度の時間が必要となることから,野放しに見えることもあるかもと思いますが。
[GM]蒼鋭氏:
RMTが介在しているかどうかは,情報を集めて総合的に判断する必要があります。またRMTは,基本的に取引をしたプレイヤーと運営チームの問題として扱っていますので,誰々を対応しましたなど大きく周知をするといったことは行いません。そのため,対策を講じていないと感じている人がいるかもしれませんね。
4Gamer:
ところで,インゲームイベントの内容は,どうやって決めているのでしょうか。
[GM]燕黄氏:
新・天上碑は開発チームを通さず,運営チームだけでもある程度のイベントを行えるようになっています。そこで私の時代からは,運営チームでイベントを企画して,実施するようになりました。まあ,私がやっていた頃はそれほど複雑な構造のイベントは用意できなかったので,どれもモンスターのポップアップ位置が共通だったりして,イベント開始前からプレイヤーが張り付いているなんてこともありました。今となってはそれもいい思い出です。
4Gamer:
イベントのドロップアイテムで,「年越しそば」「最高級しもふり肉」など,ゲームの世界観にそぐわないものが登場していますが,誰が決めているのか,という質問もありますね。
[GM]侠雲氏:
それは,主に私の時代の話です。世界観よりも,親しみやすさを重視していました。エモーションアイテムのバレンタインチョコなども私の時の運営チームの発案ですね。
[GM]蝶稜氏:
最高級しもふり肉の説明文は,私が作ったんですよ。運営チームに入って2日目に「説明を考えろ」と命じられたことは,よく覚えています(笑)
石井氏:
また,毎年作るリアルグッズと,ゲーム内アイテムが関連していたほうがいいだろうという考えもあります。例えば年越しそばというアイテムがあれば,丼や箸のような,実用性のあるグッズを企画しやすくなります。世界観にそぐわないアイテムも出て来る背景にはそういった側面があるわけです。
4Gamer:
では,「盟主機能」の廃止について教えてください。
[GM]侠雲氏:
盟主機能は,お客様が独自にイベントを主催するための機能だったのですが,その一方で,事前のアナウンスと実際の内容や開催時間が異なるケースも多く,お客様同士で揉め事の火種になったりもしていました。そこで代替案として,より多くのお客様がメリットを得られるよう,「特武符」システムを,導入したというのが実情です。
4Gamer:
千年計画で,構想していたけれども実現しなかった案があったら教えてください。
[GM]蝶稜氏:
実は,あまりボツになった案というのがないんです。当初の構想とは少し形を変えたものもありますが,ほとんどの案を実現できました。とくに,開発チームが2011年にゲームオンの子会社となり,ゲームオンスタジオと名称を変えてからは,かなりスムーズに進みました。
4Gamer:
新・天上碑では結婚をテーマにしたオフラインイベントを開催していましたが,実際のところ,リアルに結婚したカップルはいるのでしょうか。
[GM]蒼鋭氏:
ああ,それは2005年11月に実施した模擬結婚式イベントですね。ゲーム内のカップルを招いて,リアルに披露宴を行うという内容で,その時点ですでに1組,結婚されているカップルがいらっしゃいました。またイベントとは直接関係ないかもしれませんが,何組かのお客様同士が結婚されており,先ほど[GM]侠雲が述べたように,今ではお子さんと一緒にプレイしているケースもあります。
4Gamer:
新・天上碑のBGMは誰が作っているのでしょうか,またお気に入りの曲があれば,ぜひ教えてください。
[GM]蝶稜氏:
楽曲制作は,ゲームオンスタジオが担当しています。私個人は,「歓楽園」の音楽が好きですね。明るい感じがいいです。
[GM]蒼鋭氏:
私は「青海湖」の音楽が好きです。ちょうど,何かのエンディングテーマみたいなんですよね。いいメロディなので,今でもたまに聞いています。
4Gamer:
そのほか,今だから話せることがあれば教えてください。
[GM]蝶稜氏:
「変化の術書」の不具合修正でしょうか。これは,さまざまな姿に変身できるアイテムなのですが,実装の1年前から不具合が発覚して……。
石井氏:
1サーバー内で累計2000回変身すると,必ずサーバーダウンするということが発覚し,実装を先送りにして1年間ずっと原因を究明していたんです。
[GM]蝶稜氏:
実装後もいろいろあった,いわく付きのアイテムでした。今はもうすべて修正されましたから,こうしてお話できますが。
[GM]侠雲氏:
新・天上碑はグラフィックス的に地味目でしたから,見た目をどんどん変えてほしいと思って企画したんです。
,
[GM]蒼鋭氏:
私や[GM]燕黄がいた頃はアバターアイテムを入れたいと思っても,システム的に負荷がかかるのでダメと言われていましたから,ずいぶん進歩したなあと思いましたよ。
[GM]燕黄氏:
あとは5周年記念で配布した,成長促進アイテムの「5倍逆天符」でしょうか。これは今も伝説的に語られていますが,期間中,お客様が無制限に入手できてしまったんです。便利アイテム(※1)の「逆天符」より効果の高いアイテムを無料で大量に配ってしまったわけですから,当時,私はものすごく怒られました。
※1 ゲームオンが運営するオンラインゲームポータルサイト「Pmang」内サービスで利用可能なバーチャルポイント「JEWEL」と交換することで入手できるアイテム
4Gamer:
それでは10周年を迎えた新・天上碑の今後について,現役運営プロデューサーの石元さんにおうかがいします。
石元氏:
2012年10月には上位職「三次仙人」を実装しましたが,それに続き,12月の導入を目指し新攻城戦の開発をしています。新攻城戦は,先行実装した韓国仕様のものを,すでに日本のプレイヤーにテストプレイしていただいています。そのテストプレイのアンケートで得られた結果をもとに,現在,日本独自の調整を加えており,早ければ11月から再テストを行う予定です。プレイヤーの反応次第ですが,もしよくないようでしたらさらなる再調整のため,12月の本実装は延期となる可能性もあります。
4Gamer:
かなり慎重な対応ですね。
石元氏:
新攻城戦は,プレイヤーにとってエンドコンテンツのひとつとなります。それが満足していただけない仕上がりでは,多くのプレイヤーが失望してここまで続けてくれたモチベーションを下げてしまうでしょうから。
4Gamer:
分かりました。そのほか,直近で実装されるコンテンツはありますか。
石元氏:
ロードマップでは,2012年後半には,このほかにもいくつかのコンテンツを導入する予定だったのですが,三次仙人と新攻城戦のクオリティアップを図るため,それ以外のものは2013年以降することになりました。まずは,長く遊んでくださっている高レベル帯のプレイヤーに満足していただこうと。
4Gamer:
なるほど。そうなると新規プレイヤーや,中レベル帯のプレイヤーをどのようにケアするのでしょうか。
石元氏:
2012年5月に実装した,初心者用のチュートリアル施設が非常に好評でしたので,それを受けて,中レベル帯のプレイヤーをケアするコンテンツを検討中です。まだ時期は確定できないのですが,2013年内実装を目標にしています。
4Gamer:
ほかに,今の段階で公表できることがあれば,教えてください。
石元氏:
企画提案中のものとしては,従来の結婚システムに次ぐ,「子どもシステム」が挙げられます。子どもは,結婚したカップルとは異なる第三者のプレイヤーが操作可能で,両親の一部の能力を引き継いでおり,まったくの新規でゲームを始めたときよりも強いキャラクターとなる予定です。今のところ,子どもは1カップルにつき最大2人を想定しています。こうしてできる家族は,派閥(ギルド)よりも密なコミュニティになるでしょう。
4Gamer:
ほかにあまり例のない,面白い試みですね。
石元氏:
お話をしてきたとおりで,新・天上碑はコミュニティに重きを置いています。そこで今後は,新規に始めたレベルのプレイヤーと,長く遊んでいただいている高レベルのプレイヤーが一緒に遊べることでメリットが生じるようなシステムの導入を検討しています。さらに派閥のメンバーが協力して一定の条件を満たせば,バフ効果を得られるといったようなシステムの導入も考えています。
4Gamer:
それでは中長期的な方向性についても教えてください。
石元氏:
10年もサービスを続けているタイトルですと,既存プレイヤーとの間に生ずる格差に,新規のプレイヤーがついていけず,離脱してしまうことが多いと思います。その一方で,あまり簡単に新規プレイヤーが追いついてしまうようですと,既存のプレイヤーの皆さまがかけてきた時間は何だったということになるでしょう。少々欲を出してしまいますが,2013年以降は双方のバランスをうまく図るような展開を目指します。
長年の調整を経て,全体的にバランスの取れたゲームになっていますから,ぜひ多くのプレイヤーに遊んでいただきたいと思っています。
4Gamer:
最後に,あらためて10年を迎えるにあたっての意気込みをお願いします。
石元氏:
すでに発表していますが,10周年記念感謝祭を盛大に実施しています。「感謝祭」の総期間は1か月近くに及びますし(関連記事),新・天上碑初のマスコットキャラも登場します。イベントの中には,簡単に楽しめてメリットが大きいものもあり,事情があって休眠していたというプレイヤーも新・天上碑に復帰しやすくなっています。,
オンラインゲームに限りませんが,長く続くものには必ず理由があります。新・天上碑も10年続いたわけですから,そこにはポジティブな理由があります。まだまだ至らない点もありますが,運営チーム一同,皆さまのおかげで10年を迎えられたと感謝しております。新・天上碑のサービスはまだまだ続きます。今後も末永く楽しんでください。
今回参加した元スタッフ
[GM]蒼鋭氏:2004年から2007年5月頃までGMを担当した。今回参加した元GMの中では最古参
[GM]蒼鋭氏 [GM]燕黄氏
[GM]燕黄氏:2006年からGMを務め,2007年のワールドフェスティバルや,2008年の5周年記念イベントを担当した
[GM]侠雲氏:2008年6月頃から2012年の3月までGMを務めた
[GM]侠雲氏 [GM]蝶稜氏
[GM]蝶稜氏:2009年2月からGMを務め,現在もGMを担当している
石井氏:2007年~2008年GMを務め,いったん別のタイトルの運営を手がけたのち,2009年から2010年に運営プロデューサーを担当した
プレイヤーが構築したコミュニティの強さによって支えられた10年間
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。今回は歴代のGMに集まっていただき,新・天上碑の10年を振り返ってもらいたいので,まずはそれぞれ本作に関わってきたなかで,思い出に残るエピソードなどがあれば教えてください。
[GM]蒼鋭氏:
私がGMを担当していた2004年から2007年の新・天上碑は月額課金制で,プレイヤーの減少がそのままサービスの存続につながる時代でして,今でこそ話せますが,新・天上碑もこのままでは危ないと言われるところまできました。そこで続けていくための新たな施策として,「富くじ」──いわゆるガチャの販売を導入したわけです。
4Gamer:
現在の“ハイブリッド課金”の先駆けだったわけですね。
[GM]蒼鋭氏:
ええ。今でこそ基本無料のゲームは定着していますが,当時GMとしてインゲームサポートを行っているときに,50~60人のお客様に囲まれる中,「富くじは法的に問題はないのか」と問い詰められたことをよく覚えています。当時の私は,まだ経験の浅いGMでしたが,責任のある発言をしなければならず,まさに身が縮む思いでしたね。
4Gamer:
燕黄さんはいかがでしょう。
[GM]燕黄氏:
大会名を考えることや,毎月29日に回復アイテムがドロップする「肉の日」の見直しが印象深いですね。肉の日は高レベルのお客様に不評だったので,見直しを図るために一旦停止したのですが,そのあとで,多くのお客様に好評だったことがわかって大変でした。
4Gamer:
“声の大きい”プレイヤーには不評だったけれども,サイレントマジョリティはそうではなかったと。
[GM]燕黄氏:
ええ,お客様の意見をどう受け止めるべきか,判断の難しさをあらためて認識させられた出来事でしたね。
4Gamer:
では,ほかの方達はいかがでしょうか。
石井氏:
私が担当した大きな企画は,2007年のオープンβテスト5周年記念連続イベントです。そこで初めて「記念守護牌」を提供したのですが,非常にお客様の関心を集めたことが記憶に残っています。
2009年以降は,競合タイトルが増える中,「千年計画」と銘打ったアップデートの告知を行い,生産/ハウジングシステムの導入に関わりました。
私は新・天上碑の単独オフラインイベントを,2005年以来約7年ぶりに開催できたことが印象に残っています。お子さんと一緒に来てくださったお客様もいて,非常に感慨深い思い出です。
あとは2010年初頭の「天上三国志」イベントでしょうか。これはお客様とGMが共同で進めるイベントで,状況に応じて展開が変わるという内容だったのですが,非常に快くご協力いただけたことがありがたかったです。個人的に楽しかったのは,たくさんの熊を出現させた「VS_GMイベント~GMからの挑戦状~」イベントですね。
[GM]蝶稜氏:
新・天上碑に携わった直後,当時の責任者に「千年計画をまとめてみろ」と言われて非常に苦労したことが,一番の思い出です。千年計画が一区切りついた2011年までは,本当に大変でした。ここにいる先輩達の手となり足となり,日々の業務を積み重ねてきたと言うのが正直な感想です。
4Gamer:
なるほど。皆さんそれぞれに,いろいろな思い出があるようですが,その中で,現在の業務に役立っていると感じることがあれば,ぜひ教えてください。
[GM]蒼鋭氏:
私の時代は,ちょうどオンラインゲームが月額課金制から基本無料にシフトする時期でした,その流れの中,新・天上碑も早めに基本無料に移行したわけですが,そういった新しい考え方にチャレンジしていく姿勢が,私に限らずゲームオン全体に浸透したのではないでしょうか。
また私個人は,富くじの件を通じて,お客様ときちんと向き合ってお話をする手法を学びました。
[GM]蝶稜氏:
私は,新・天上碑に携わった当初,「どうして今時でなく一昔前のタイトルを,ずっとサービスできるのだろう」という疑問を抱いていました。しかし,カスタマーサポートなどの業務を通じてお客様の声を聞いているうちに,お客様が求めているのはシステムの斬新さや美麗なグラフィックスではなく,コミュニティの強さであることに気づかされたのです。現在,私はほかのタイトルを手がけていますが,その経験からお客様のアンケートへの回答を非常に重視するようになりましたし,今後も同じ方針でやっていきます。
[GM]侠雲氏:
私も新・天上碑からコミュニティの大切さを学びました。現在では,モバイル向けのタイトルを担当しているのですが,それらにチャット機能を盛り込んだのも新・天上碑の経験を踏まえてのことです。
[GM]蝶稜氏:
コミュニティに関しては,お客様からもチャットシステムが優秀であるというご意見を頂戴しています。そうした強みを生かし,先人が培ったものを継承して,今後も長くサービスを続けたいと考えています。
歴代GMがプレイヤーの疑問にズバリ回答。今だから話せるエピソードも
4Gamer:
それでは,OBT開始から10年を記念して,運営チームがプレイヤーから募集した質問の中から,今後につながる内容のものなどを,ピックアップして聞いて見たいと思います。
まずは一番多く見受けられた,新・天上碑はいつまで続くのかという質問について回答をお願いします。
[GM]蝶稜氏:
不安を抱いているお客様もいらっしゃるようですが,お客様に支えていただけている限り,終わりにするつもりも予定もまったくありません。
[GM]燕黄氏:
これだけサービスが継続できているのは,きちんと利益を上げることができているからです。本当にお客様のおかげですね。
私や[GM]蒼鋭は,現役の運営チームでこそありませんが,新・天上碑とともにゲームオンで年齢と経験を重ねてきたメンバーです。無論,良いことばかりではありませんでしたが,初心を忘れないようにしないといけないでしょう。
4Gamer:
燕黄さんのコメントに少し関連しますが,運営チームの平均年齢はどのくらいでしょうか。
[GM]蝶稜氏:
今のチームは以前よりも若返っていて,20代中盤から30歳前後が中心になっています。
[GM]燕黄氏:
歴史あるタイトルを若いスタッフが担当しているという点でも,将来への不安は払拭していただけるのではないでしょうか。
4Gamer:
では,次の質問です。運営チームのスタッフは,プライベートで新・天上碑をプレイしていますか。
[GM]蒼鋭氏:
もちろんしています。
GMは任期中,必ずプライベートで一般のお客様に混ざってプレイしています。ちなみに勤務中は,透明化したGMキャラでゲーム内を巡回し,不正ツール利用などがないかなどをチェックしています。私は「洛陽城」で,チャットの内容やアイテムの市場を確認するといったこともやっています。
4Gamer:
監視にはRMTの取締りも含まれていますか。
[GM]蝶稜氏:
はい。それも日々行っています。
[GM]燕黄氏:
ただ,その時々で最善の手を尽くしているのですが,どうしてもいたちごっこに陥ってしまいがちです。また,取締りに間違いがあってはいけませんので,お客様の快適なプレイを阻害しないためにも,慎重に判断しなければならないという側面もあります。そのためにはある程度の時間が必要となることから,野放しに見えることもあるかもと思いますが。
[GM]蒼鋭氏:
RMTが介在しているかどうかは,情報を集めて総合的に判断する必要があります。またRMTは,基本的に取引をしたプレイヤーと運営チームの問題として扱っていますので,誰々を対応しましたなど大きく周知をするといったことは行いません。そのため,対策を講じていないと感じている人がいるかもしれませんね。
4Gamer:
ところで,インゲームイベントの内容は,どうやって決めているのでしょうか。
[GM]燕黄氏:
新・天上碑は開発チームを通さず,運営チームだけでもある程度のイベントを行えるようになっています。そこで私の時代からは,運営チームでイベントを企画して,実施するようになりました。まあ,私がやっていた頃はそれほど複雑な構造のイベントは用意できなかったので,どれもモンスターのポップアップ位置が共通だったりして,イベント開始前からプレイヤーが張り付いているなんてこともありました。今となってはそれもいい思い出です。
「最高級しもふり肉」 |
イベントのドロップアイテムで,「年越しそば」「最高級しもふり肉」など,ゲームの世界観にそぐわないものが登場していますが,誰が決めているのか,という質問もありますね。
[GM]侠雲氏:
それは,主に私の時代の話です。世界観よりも,親しみやすさを重視していました。エモーションアイテムのバレンタインチョコなども私の時の運営チームの発案ですね。
[GM]蝶稜氏:
最高級しもふり肉の説明文は,私が作ったんですよ。運営チームに入って2日目に「説明を考えろ」と命じられたことは,よく覚えています(笑)
石井氏:
また,毎年作るリアルグッズと,ゲーム内アイテムが関連していたほうがいいだろうという考えもあります。例えば年越しそばというアイテムがあれば,丼や箸のような,実用性のあるグッズを企画しやすくなります。世界観にそぐわないアイテムも出て来る背景にはそういった側面があるわけです。
4Gamer:
では,「盟主機能」の廃止について教えてください。
[GM]侠雲氏:
盟主機能は,お客様が独自にイベントを主催するための機能だったのですが,その一方で,事前のアナウンスと実際の内容や開催時間が異なるケースも多く,お客様同士で揉め事の火種になったりもしていました。そこで代替案として,より多くのお客様がメリットを得られるよう,「特武符」システムを,導入したというのが実情です。
4Gamer:
千年計画で,構想していたけれども実現しなかった案があったら教えてください。
[GM]蝶稜氏:
実は,あまりボツになった案というのがないんです。当初の構想とは少し形を変えたものもありますが,ほとんどの案を実現できました。とくに,開発チームが2011年にゲームオンの子会社となり,ゲームオンスタジオと名称を変えてからは,かなりスムーズに進みました。
4Gamer:
新・天上碑では結婚をテーマにしたオフラインイベントを開催していましたが,実際のところ,リアルに結婚したカップルはいるのでしょうか。
ああ,それは2005年11月に実施した模擬結婚式イベントですね。ゲーム内のカップルを招いて,リアルに披露宴を行うという内容で,その時点ですでに1組,結婚されているカップルがいらっしゃいました。またイベントとは直接関係ないかもしれませんが,何組かのお客様同士が結婚されており,先ほど[GM]侠雲が述べたように,今ではお子さんと一緒にプレイしているケースもあります。
4Gamer:
新・天上碑のBGMは誰が作っているのでしょうか,またお気に入りの曲があれば,ぜひ教えてください。
[GM]蝶稜氏:
楽曲制作は,ゲームオンスタジオが担当しています。私個人は,「歓楽園」の音楽が好きですね。明るい感じがいいです。
[GM]蒼鋭氏:
私は「青海湖」の音楽が好きです。ちょうど,何かのエンディングテーマみたいなんですよね。いいメロディなので,今でもたまに聞いています。
4Gamer:
そのほか,今だから話せることがあれば教えてください。
[GM]蝶稜氏:
「変化の術書」の不具合修正でしょうか。これは,さまざまな姿に変身できるアイテムなのですが,実装の1年前から不具合が発覚して……。
石井氏:
1サーバー内で累計2000回変身すると,必ずサーバーダウンするということが発覚し,実装を先送りにして1年間ずっと原因を究明していたんです。
実装後もいろいろあった,いわく付きのアイテムでした。今はもうすべて修正されましたから,こうしてお話できますが。
[GM]侠雲氏:
新・天上碑はグラフィックス的に地味目でしたから,見た目をどんどん変えてほしいと思って企画したんです。
,
[GM]蒼鋭氏:
私や[GM]燕黄がいた頃はアバターアイテムを入れたいと思っても,システム的に負荷がかかるのでダメと言われていましたから,ずいぶん進歩したなあと思いましたよ。
[GM]燕黄氏:
あとは5周年記念で配布した,成長促進アイテムの「5倍逆天符」でしょうか。これは今も伝説的に語られていますが,期間中,お客様が無制限に入手できてしまったんです。便利アイテム(※1)の「逆天符」より効果の高いアイテムを無料で大量に配ってしまったわけですから,当時,私はものすごく怒られました。
※1 ゲームオンが運営するオンラインゲームポータルサイト「Pmang」内サービスで利用可能なバーチャルポイント「JEWEL」と交換することで入手できるアイテム
2013年は中レベル帯のコンテンツとコミュニティ機能の双方を強化
4Gamer:
それでは10周年を迎えた新・天上碑の今後について,現役運営プロデューサーの石元さんにおうかがいします。
新・天上碑 運営プロデューサー 石元氏 |
2012年10月には上位職「三次仙人」を実装しましたが,それに続き,12月の導入を目指し新攻城戦の開発をしています。新攻城戦は,先行実装した韓国仕様のものを,すでに日本のプレイヤーにテストプレイしていただいています。そのテストプレイのアンケートで得られた結果をもとに,現在,日本独自の調整を加えており,早ければ11月から再テストを行う予定です。プレイヤーの反応次第ですが,もしよくないようでしたらさらなる再調整のため,12月の本実装は延期となる可能性もあります。
4Gamer:
かなり慎重な対応ですね。
石元氏:
新攻城戦は,プレイヤーにとってエンドコンテンツのひとつとなります。それが満足していただけない仕上がりでは,多くのプレイヤーが失望してここまで続けてくれたモチベーションを下げてしまうでしょうから。
4Gamer:
分かりました。そのほか,直近で実装されるコンテンツはありますか。
石元氏:
ロードマップでは,2012年後半には,このほかにもいくつかのコンテンツを導入する予定だったのですが,三次仙人と新攻城戦のクオリティアップを図るため,それ以外のものは2013年以降することになりました。まずは,長く遊んでくださっている高レベル帯のプレイヤーに満足していただこうと。
4Gamer:
なるほど。そうなると新規プレイヤーや,中レベル帯のプレイヤーをどのようにケアするのでしょうか。
2012年5月に実装した,初心者用のチュートリアル施設が非常に好評でしたので,それを受けて,中レベル帯のプレイヤーをケアするコンテンツを検討中です。まだ時期は確定できないのですが,2013年内実装を目標にしています。
4Gamer:
ほかに,今の段階で公表できることがあれば,教えてください。
石元氏:
企画提案中のものとしては,従来の結婚システムに次ぐ,「子どもシステム」が挙げられます。子どもは,結婚したカップルとは異なる第三者のプレイヤーが操作可能で,両親の一部の能力を引き継いでおり,まったくの新規でゲームを始めたときよりも強いキャラクターとなる予定です。今のところ,子どもは1カップルにつき最大2人を想定しています。こうしてできる家族は,派閥(ギルド)よりも密なコミュニティになるでしょう。
4Gamer:
ほかにあまり例のない,面白い試みですね。
石元氏:
お話をしてきたとおりで,新・天上碑はコミュニティに重きを置いています。そこで今後は,新規に始めたレベルのプレイヤーと,長く遊んでいただいている高レベルのプレイヤーが一緒に遊べることでメリットが生じるようなシステムの導入を検討しています。さらに派閥のメンバーが協力して一定の条件を満たせば,バフ効果を得られるといったようなシステムの導入も考えています。
4Gamer:
それでは中長期的な方向性についても教えてください。
石元氏:
10年もサービスを続けているタイトルですと,既存プレイヤーとの間に生ずる格差に,新規のプレイヤーがついていけず,離脱してしまうことが多いと思います。その一方で,あまり簡単に新規プレイヤーが追いついてしまうようですと,既存のプレイヤーの皆さまがかけてきた時間は何だったということになるでしょう。少々欲を出してしまいますが,2013年以降は双方のバランスをうまく図るような展開を目指します。
長年の調整を経て,全体的にバランスの取れたゲームになっていますから,ぜひ多くのプレイヤーに遊んでいただきたいと思っています。
4Gamer:
最後に,あらためて10年を迎えるにあたっての意気込みをお願いします。
石元氏:
すでに発表していますが,10周年記念感謝祭を盛大に実施しています。「感謝祭」の総期間は1か月近くに及びますし(関連記事),新・天上碑初のマスコットキャラも登場します。イベントの中には,簡単に楽しめてメリットが大きいものもあり,事情があって休眠していたというプレイヤーも新・天上碑に復帰しやすくなっています。,
オンラインゲームに限りませんが,長く続くものには必ず理由があります。新・天上碑も10年続いたわけですから,そこにはポジティブな理由があります。まだまだ至らない点もありますが,運営チーム一同,皆さまのおかげで10年を迎えられたと感謝しております。新・天上碑のサービスはまだまだ続きます。今後も末永く楽しんでください。
4Gamer:
ありがとうございました。
このインタビューで最も興味深いのは,歴代GMが口々に「プレイヤーはコミュニティを求めている」と語っていたことだろう。これは,まだオンラインRPGの運営方法が確立していなかった頃から現在に至るまで,新・天上碑の運営を模索していった中で得られたひとつの回答だ。ある意味,“オンラインゲームとは何なのか”を端的に表現している発言ともいえるだろう。
それを踏まえ,今後の新・天上碑ではコミュニティのさらなる強化が行われる計画がある。そうした運営開発チームの尽力が,石元氏の言う“ポジティブな理由”に直結し,15年,20年とサービスが継続することに期待したい。
RMT4gamer編集しました
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